50代前半の方の民事再生体験談

知人から相談された時の事をお話しします。

私は金融機関に勤めていることもあり、債務に陥った人から相談される事が多いのですが、その友人からは『個人再生が出来る弁護士を知らないか。買った家を手放したく無い。今はそういうのが出来るんだろう。1度弁護士に相談に行ったら、家に価値があったら出来ないよと断られたんだ。』と言って来ました。

 

彼の状況は、年齢 50代前半、年収800万円台後半、家族構成は専業主婦の妻に子供2人、住宅ローン残債 4000万円、借金は銀行カードローンで300万円、消費者金融に100万円、その他奨学金。

毎月の支払いや支出の細かい所は省きますが、返済率は30パーセント位、支出ベースでは毎月20万円収入が支出を上回っている状態と手控えに記録されています。

 

この話を聞いて、私の第一声は『弁護士に相談して、個人再生は難しそうと言われたら出来ませんよ。個人再生は自己破産よりも得をするものではありません。』でした。

最近は過払い金CMの影響で債務整理の敷居が低くなり、弁護士のホームページでも簡単に債務整理ができる様に書かれていて、裏技の様に思っている人が沢山います。

 

債務整理の内、個人再生は業者の半分、総額の半額の再建計画に同意させる必要がありますから、自己破産のような裁判官への借金返せないアピールでは無く、業者に対して債務を棒引きしたらあなた方にもメリットがあるのでして下さいと言う説得をしないといけないのですから。

本人が得をして、業者が泣くような再建計画なんて、ハナから交渉するまでも無く結果はわかっていて、必死に返して下さい、無理なら自己破産して下さいと業者から言われるでしょう。

 

私は以上の様な事を説明して、あなたが取るべき道は3つ。

  1. 奥さんをパートに出させ、扶養130万円ギリギリ迄働かせた上で、支出を見直し10万円程の節約をする。
  2. 家を任意売却(残債無しになりそう)して、住宅ローンの支払いを無くす。
  3. 自己破産をする。

この3つしか無いと言ったのですが、どれも嫌で個人再生をしたいとの事。

いわく、『奥さんは結婚以来働かせたことが無いから働かない、むしろ働かせるのは矜持にかかわる、だが家は残したい』だそうです。

 

この様にそこそこ高年収の家では、女性が油断して完全専業主婦になり、浪費が多くなるため家計は低年収共働き世帯よりも貧困化するケースが最近多い様です。

彼は結局、個人再生の道を諦めず、自力で弁護士を探し、請け負ってくれる人を見つけたと嬉々として話しにきました。

個人再生の請け負いだけは、弁護士は前金が受け取れますから、依頼者の希望と言って何でも受けるんですけどね。

 

その後、当たり前ですが、大した債務整理の形にもならず、半年後に個人再生決裂、自己破産に移りました。

個人再生は債務の支払いを止めてしまうので、失敗したら自己破産以外に道がありません。

結局彼は自己破産後に愚痴を言いに来ました。『自己破産したのに、弁護士の支払いが300万円残るんだが、払わないといけないのか。これじゃ家がなくなっただけじゃないか。』質の良くない弁護士は勝算が無くても個人再生から入るんですよ。その方が弁護士料とれるでしょう。個人再生は容易ではありませんので、弁護士の言うことを鵜呑みにせず、債務者である相手の出方を良く研究して依頼して下さい。